• 2026年7月21日

<第2章>第9回   薬が増えてきたときの考え方

~「これって飲みすぎ?」と不安を感じるあなたへ~

こんにちは、町のお医者さんです。

ふと手元のお薬を見て、「なんだか最近、数が増えてきたな……」とため息をついたことはありませんか?

  • 「朝だけで何錠もあって、飲むのがひと苦労」
  • 「何の薬か分からなくなってきて、管理が不安」
  • 「こんなにたくさん飲んで、体は大丈夫なの?」

診察室でも、こうしたお悩みは本当に多く伺います。今回は、お薬が増えてきたときに大切にしてほしい「心の整理」と「上手な見直しのヒント」をお話しします。をお話しします。

まずお伝えしたいのは、お薬の数が増えること自体が、必ずしも悪いわけではないということです。数が増えるのには、あなたの体を守るための「前向きな理由」があるからです。

  • 「予防」という盾を増やす:今の痛みを抑えるだけでなく、将来の脳卒中などを防ぐための「守りの薬」が加わることがあります。
  • 「相性」を整える:メインの薬の効果をしっかり出すため、あるいは胃腸への負担を和らげるための「サポート役」が必要になることもあります。
  • 「健康のアップデート」:加齢とともに高血圧や糖尿病など、ケアすべき項目が重なるのは自然なこと。それぞれの分野で最善の選択をした結果、数が増えるのは珍しくありません。

お薬は、一度出たら一生飲み続けるものとは限りません。むしろ、季節や体調の変化に合わせて「衣替え」をするように、定期的に整理・調整することが大切です。

次のようなサインがあれば、それはお薬を整理する「絶好のチャンス」かもしれません。

  • 「以前のつらかった症状が、もうずっと落ち着いている」
  • 「似たような効果の薬が、別の病院からも出ている気がする」
  • 「飲むこと自体が負担で、時々飲み忘れてしまう」

最近では、複数の成分を1錠にまとめた「配合剤」という選択肢もあります。無理に我慢せず、「もう少しスッキリさせたい」と相談してみましょう。

ここだけは、強くお伝えさせてください。
「数が多いから」「調子が良いから」と、独断で急にお薬をやめてしまうのが、体にとって一番危険です。

血圧の薬などは、急に中止するとリバウンドで血圧が急上昇したり、持病が一気に悪化したりすることがあります。「減らす・やめる」の決断は、必ず私たち医師や薬剤師と一緒に、「安全な階段」を一段ずつ下りるように進めていきましょう。

「薬を減らしたいと言うと、先生に失礼かな?」と心配する必要は全くありません。
あなたが「納得して、安心して飲める」ことこそが、治療の効果を最大限に引き出してくれるからです。

お薬手帳は、いわば「あなたの健康の履歴書」です。
不安があるときは、ぜひお薬手帳(他院のものや、飲んでいるサプリメントも!)を手に、診察室へ来てください。

「今のあなた」にとって本当に必要なものだけを、一緒に選んでいきましょう。

参考・引用元(内容の考え方の参考として)
※以下は本文を作成する際の医学的考え方の参考資料であり、本文はこれらをそのまま引用したものではありません。
ポリファーマシーに対する啓発情報
 厚生労働省:高齢者のみなさまへ(お薬について)
 mhlw.go.jp
複数の薬を飲む際のアドバイス
一般社団法人 日本老年医学会:高齢者が注意したい多剤服用
 jpn-geriat-soc.or.jp
お薬手帳の活用方法
 公益社団法人 日本薬剤師会:お薬手帳を持ちましょう
 nichiyaku.or.jp
【重要】 医療上の責任について
本コラムは、医療に関する一般的な情報提供を目的としており、個別の薬の副作用判断や服薬指導、個別の診断や治療方針を示すものではありません。症状や体調に不安がある場合は、自己判断せず、必ず医師または医療機関にご相談ください。
掲載内容は執筆時点での情報に基づいています。本記事の情報を利用した結果生じたいかなる損害についても、筆者および掲載媒体は一切の責任を負いかねます。

著者プロフィール
梶原 直央
当院管理医師 内科・外科医師
(元東京医科大学呼吸器外科教授)

日常診療では、病気そのものだけでなく、生活背景や不安も含めた相談を大切にしている。
本連載では、医療情報があふれる時代だからこそ、「何を基準に考えればいいのか」「どこまで心配しなくていいのか」を町のお医者さんの視点で伝えている。

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