出生前診断には、超音波(エコー)検査のような「形態異常」を調べる検査と「染色体異常」を調べる2種類の検査があります。
「染色体異常」を調べる出生前診断には、検査の結果に基づいて「診断が確定できない検査」と「診断が確定できる検査」とがあります。

各種検査について(要予約)
新型出生前診断(NIPT)
※現在、本院のみ
新型出生前診断(NIPT)は、無侵襲的出生前遺伝学的検査のことであり、妊婦の血液を採取し、母体血中の胎児DNA断片を分析し、胎児が染色体異常症や遺伝子異常症を持っているかどうかの可能性を調べる検査です。
NIPTは、判定の精度が大変高い検査ですが、非確定的検査です。結果が陽性であった場合は、確定的検査である羊水検査を受けるか否かの選択を行う必要があります。
NIPTの特長は、判定の精度が大変高い検査で、しかも、妊娠9週以降と早い時期に検査を行うことができることです。
クワトロ検査
妊婦の血液を採取し、AFP, uE3, hCG, InhibinA 値を調べることにより、胎児の21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー、開放性神経管奇形(二分脊椎や無脳症など)の確率を算出します。
次の因子が確率に影響を与えます。
①年齢 ②妊娠週数 ③母体体重 ④家族歴などカットオフ値(分割点あるいは病態識別値ともいいます)を基準に、基準値よりも高い場合はスクリーニング陽性、低い場合はスクリーニング陰性と報告されますが、非確定的検査ですので、この結果が確定診断ではありません。
OSCAR検査
超音波検査と採血との組み合わせの検査です。超音波検査によるNT計測(胎児の首の後ろのうなじのあたりの厚みの計測)とお母さんからの採血による母体血清マーカー(PAPP-A, hCG)計測とを組み合わせて、胎児の21トリソミー(ダウン症候群)と18トリソミーの確率を計算します。
なお、超音波のみの検査よりも精度が高い検査ですが、非確定的検査ですので、この検査の結果が確定診断にはなりません。
羊水検査
羊水検査(羊水染色体検査)は、侵襲的検査になり、お腹に針を刺し胎児を包む薄い膜(羊膜)の内部を満たし胎児を保護する液体(羊水)を採取して、染色体異常や遺伝子疾患を診断するための検査です。
羊水検査の合併症としては、流産、破水、出血、腹痛、子宮内感染、胎児の受傷、早産などがあります。流産に至る確率は、約0.3% (1/300)です。
全ての病気を診断することはできませんが、胎児の染色体の変化「染色体異常」を診断することができます。
超音波胎児スクリーニング
※曜日限定
超音波診断技術の進歩により、赤ちゃんの先天的な異常の一部は、妊婦さまのお腹の中で見つかることが多くなりました。胎児超音波スクリーニング外来では、詳細に胎児を観察し、心臓の奇形を含め、形態的な異常の有無を調べます。
スクリーニングにより胎児に異常が疑われた場合は、精密検査のために高次医療施設を紹介させていただきます。
妊娠20週前後・妊娠30週前後の原則計2回行っております。
※初回スクリーニングの際には、「胎児の精密超音波検査(スクリーニング検査)説明書兼同意書」をお持ちください。
※当院には胎児心エコー認証医が2名いるため、一部保険適用の診療となります。
※超音波中はご家族等のお付添いはご遠慮いただきますようお願い致します。
胎児ドック~胎児精密超音波検査~
※曜日限定
妊娠初期では赤ちゃんにむくみ(NT)がないか、鼻骨や顔面、耳の位置などのチェックを中心に行います。
中期胎児ドックでは赤ちゃんの脳や心臓の構造・手足の指や口唇、目の水晶体チェックまで30項目以上にわたる検査項目があり、後期胎児ドックでは脳のしわのでき方といった大脳皮質の発達もチェック。赤ちゃんに異常が疑われる場合にはさらに詳しい検査に進みます。
妊娠中期胎児精密超音波検査は、妊娠18週以降であれば、いつお受けになっても構いません。
妊娠末期(妊娠28週以降)になると、部分的に胎児の観察がやや困難になる一方で、より細かい構造を確認することも可能になります。胎児の成長とともに起こる変化や、新たに生じた問題がないかを確認することで、より安心を深めて出産に臨むことができます。
当院の胎児精密超音波検査は、ISUOG(国際産婦人科超音波学会)のガイドラインに示された観察項目に則って行われます。
赤ちゃんに不安をかかえている方、担当医に気になる点を指摘された方、上のお子さんに問題があった方など、どなたでも受けていただくことができます。
※超音波中はご家族等のお付添いはご遠慮いただきますようお願い致します。
超初期胎児精密ドック
※現在、本院のみ
妊娠初期に、超音波検査を通じて赤ちゃんを診ることで、血液や遺伝子検査ではわからない多くの情報が得られます。
胎児の先天的な形態異常などを確認する検査を「精密超音波検査」といいます。NIPTなどの染色体検査でわかる胎児異常はわずかに20%弱であるため、妊娠初期の「胎児超音波精密検査」は最近注目を集めている検査です。
「精密超音波検査」はチェック項目が多く、細かな部分まで確認する必要があるため、高度な超音波検査技術と十分な検査時間が必要です。当院では、超音波専門医の医師/技師が実施いたします。
- NIPTやコンバインド検査との組み合わせも可能です。