- 2026年8月14日
<第2章>第11回 通院をやめたくなったとき
~通院を続ける意味が見えなくなったあなたへ~
こんにちは、町のお医者さんです。
長く通院を続けていると、ふとした瞬間に「これ、いつまで続くんだろう……」と足が重くなることはありませんか?
- 「ずっと通っているけれど、劇的な変化がなくてマンネリ気味」
- 「仕事や家事が忙しくて、待ち時間がもったいなく感じる」
- 「体調もいいし、もう薬も通院もいらないんじゃないかな?」
こうした「通院をやめたい」という気持ちは、決してわがままではありません。
治療を前向きに頑張っているからこそ、誰もが一度は抱く自然な感情です。
今回は、そんな時の心の整理術をお話しします。
■ なぜ「通院の意味」が見えなくなるのか
特に、痛みなどの自覚症状がない場合、「本当に通う必要があるの?」と感じやすくなります。そこには、3つの心理的な背景があります。
- 「変わらない」は「順調」の証拠:血圧や血糖値の管理などは、大きな変化がないことこそが治療の成功を意味します。しかし、何事もない日常が当たり前になると、つい通院の優先順位が下がってしまうものです。
- 「喉元過ぎれば……」の心理:苦しかった症状が落ち着くと、当時の辛さを忘れ、今の健康が「自力」で保たれていると錯覚しやすくなります。
- 「生活の負担」との兼ね合い:交通費、待ち時間、お薬代。これらが積み重なると、目に見える劇的な変化がない通院は、ただの「コスト」に見えてしまいます。
■ 通院という名の「定期点検」が守っているもの
通院には、単にお薬を受け取るだけではない、目に見えない大切な役割があります。
- 「小さな狂い」を早期発見:血液データや診察時のちょっとした会話から、自分では気づかない「病状の芽」を医師が摘み取っています。
- 「安心のアップデート」:今の生活習慣で本当に大丈夫か、年齢や季節に合わせたアドバイスを受けることで、未来の大きな病気を防いでいます。
- 「お墨付き」を得る:「今のままで大丈夫」という専門家からの言葉は、実は心にとって一番の栄養剤になります。
■ 「やめたい」は、治療をより良くするチャンス
「やめたい」と言ったら先生に怒られる……なんて思わないでください。むしろ、その本音を伝えていただくことで、あなたにとって「もっと楽な治療プラン」を提案できるかもしれません。
迷ったときは、ぜひこう相談してみてください。
- 「通院の間隔を空けられませんか?」:安定していれば、月1回を2ヶ月に1回に延ばせるかもしれません。
- 「一度、お休みできませんか?」:一旦区切りをつけ、どのような状態になったら再開するか、ルールを決めておくことも可能です。
- 「オンライン診療やリフィル処方箋は使えますか?」:通院の手間を物理的に減らす方法も、今の医療には増えています。症状が安定している場合、一定期間内であれば、診察を受けずに薬局でお薬を受け取れる制度もあります。
■ 町のお医者さんから伝えたいこと
通院は、あなたを縛るためのものではなく、あなたの「自由な時間」を将来にわたって守るための投資です。
もし「もう行きたくないな」と思ったら、それをそのまま教えてください。私たちは、医学的に安全な範囲で、どうすればあなたの負担を減らせるか、一緒に作戦を練る準備ができています。
無理をせず、細く長く、あなたのペースで健康を支えていきましょう。
私たちは、あなたが無理なく、笑顔で治療を続けられる「伴走者」でありたいと思っています。
参考・引用元(内容の考え方の参考として)
※以下は本文を作成する際の医学的考え方の参考資料であり、本文はこれらをそのまま引用したものではありません。
・オンライン診療の活用について
厚生労働省:オンライン診療の利用について
mhlw.go.jp
・リフィル処方箋の仕組みとメリット
厚生労働省:リフィル処方箋について
mhlw.go.jp
・慢性疾患との付き合い方(患者向けガイド)
日本臨床内科医会:生活習慣病の基礎知識
japha.jp
【重要】 医療上の責任について
本コラムは、医療に関する一般的な情報提供を目的としており、個別の薬の副作用判断や服薬指導、個別の診断や治療方針を示すものではありません。症状や体調に不安がある場合は、自己判断せず、必ず医師または医療機関にご相談ください。
薬の種類や病状によっては、自己判断による急な中断が重大な健康被害を引き起こす場合があります。通院や服薬を調整したい場合は、必ず主治医や薬剤師にご相談ください。
掲載内容は執筆時点での情報に基づいています。本記事の情報を利用した結果生じたいかなる損害についても、筆者および掲載媒体は一切の責任を負いかねます。
著者プロフィール
梶原 直央
当院管理医師 内科・外科医師
(元東京医科大学呼吸器外科教授)
日常診療では、病気そのものだけでなく、生活背景や不安も含めた相談を大切にしている。
本連載では、医療情報があふれる時代だからこそ、「何を基準に考えればいいのか」「どこまで心配しなくていいのか」を町のお医者さんの視点で伝えている。