• 2026年6月27日

<第2章>第7回 検査を勧められたけど、どうしよう?

~「納得して受ける」ためのヒント~

こんにちは、町のお医者さんです。

診察室で「念のため、一度検査をしておきましょうか」と言われたとき、皆さんはどう感じますか?

「そんなに悪いの?」と不安になったり、「お金も時間もかかるし、少し面倒だな」とためらったり。あるいは、「もし怖い病気が見つかったら……」と足がすくんでしまうこともあるかもしれません。

今回は、検査を勧められて迷ったときに、大切にしてほしい「心の整理術」についてお話しします。

「検査=病気の疑い」と身構えてしまう方は多いですが、実はそれだけではありません。医師が検査を勧めるのには、3つの「前向きな理由」があります。

  • 最短ルートで治すため:似たような症状の中から原因を特定し、あなたに最適な治療法を一日も早く見つけるためです。
  • 「安心」という処方箋:「重大な病気ではない」という裏付けを得ることで、心のストレスを取り除くことも立派な治療の一つです。
  • 「今のあなた」を記録するため:健康な時のデータをとっておくことで、将来もし体調を崩したときに、何がどう変わったのかを正確に比較できるようになります。

一方で、検査には「負担」があるのも事実です。迷うのは、あなたが以下のようなリスクを冷静に考えている証拠であり、決してわがままではありません。

  • からだの負担:痛み、空腹によるふらつき、放射線への不安。
  • お財布の負担:特殊な検査は費用もかかります。
  • 「知りすぎ」の負担:治療の必要がない小さな異常が見つかり、かえって心配が増えてしまうこともあります。

だからこそ、少しでも「気が進まないな」と思ったら、遠慮なく立ち止まっていいのです。

迷ったときは、ぜひ医師にこう切り出してみてください。この一言が、あなた自身の納得への第一歩になります。

  1. 「この検査で、治療の何が変わりますか?」
    結果次第で、薬の種類が変わるのか、生活習慣の改善で済むのか。「検査の目的」をはっきりさせます。
  2. 「今すぐ受けるべきですか?」
    今日受けるべきか、数週間様子を見てからでも遅くないのか。緊急性を確認します。
  3. 「受けない場合、どうなりますか?」
    もし検査をしない場合、どんなリスクが考えられるのか。その先の選択肢を一緒に想定しておきます。

医療の主役は、医師でも検査機械でもなく、あなた自身です。

「先生が言うから仕方なく受ける」のではなく、メリットとデメリットを天秤にかけ、「納得して受ける(あるいは、今は受けないと決める)」ことが、あなたにとって最良の医療につながります。

もし迷ったら、どうぞそのままの気持ちを教えてください。私たちは、あなたの「安心」のために、一緒に悩むパートナーでありたいと思っています。


参考・引用元(内容の考え方の参考として)
※以下は本文を作成する際の医学的考え方の参考資料であり、本文はこれらをそのまま引用したものではありません。
共有意思決定(SDM)のガイドライン
 がん対策情報センター(国立がん研究センター):納得して決めるために
 ganjoho.jp
患者と医師のコミュニケーションについて
 厚生労働省:上手な医療のかかり方(医師への伝え方のコツ)
 mhlw.go.jp
検査の必要性とインフォームド・コンセント
 公益社団法人 日本医師会:知っておきたいがん検診の知識(検査全般の考え方の参考に)
 med.or.jp
【重要】 医療上の責任について
本コラムは、医療に関する一般的な情報提供を目的としており、個別の薬の副作用判断や服薬指導、個別の診断や治療方針を示すものではありません。症状や体調に不安がある場合は、自己判断せず、必ず医師または医療機関にご相談ください。
掲載内容は執筆時点での情報に基づいています。本記事の情報を利用した結果生じたいかなる損害についても、筆者および掲載媒体は一切の責任を負いかねます。

著者プロフィール
梶原 直央
当院管理医師 内科・外科医師
(元東京医科大学呼吸器外科教授)

日常診療では、病気そのものだけでなく、生活背景や不安も含めた相談を大切にしている。
本連載では、医療情報があふれる時代だからこそ、「何を基準に考えればいいのか」「どこまで心配しなくていいのか」を町のお医者さんの視点で伝えている。

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