• 2026年4月4日

第8回   「不安」だけで受診してもいいですか?

  • 答えは、迷わず「はい」です
  • あなたの安心を守るのも私たちの仕事です

診察室のドアをたたく前に、そんな風にためらってしまったことはありませんか?

「はっきりした痛みがあるわけじゃないけれど、なんだか胸がざわつく」

「ネットで病気の記事を読んで、自分もそうじゃないかと怖くなった」

「検査の結果は異常なしだったけど、やっぱり体調がしっくりこない」

そんな時、町のお医者さんの答えははっきりしています。

「不安」だけで受診していいのです。

というより、むしろ「不安なときこそ、早めに来てください」と私たちは思っています。

今回は、なぜ不安なときに受診してほしいのか、その理由をお話しします。

実は「不安」という感情は、はっきりした症状が出る前に体が鳴らしてくれる、

非常に優秀な「早期警戒アラーム」であることが多いのです。

  • 自分では気づいていない「蓄積した疲労」
  • 季節の変わり目による「自律神経の乱れ」
  • 家族や仕事の環境変化による「無意識のストレス」

これらは、血液検査の数値には出にくいもの。

でも、あなたが感じている「なんとなく変だ」という感覚は、

どんな最新機械よりも先に、あなたの異変をキャッチしています。

その「モヤモヤ」を言葉にして医師に話すこと自体が、立派な治療の第一歩なのです。

診察をして、詳しくお話を聞いた結果、

「今のところ、怖い病気の心配はありませんね」となることがあります。

「時間を取らせて申し訳なかった」と恐縮される患者さんもいらっしゃいますが、

そんな風に思わないでください。

「専門家からお墨付きをもらって、安心して日常に戻れる」ということ。

これは、どんなに高いサプリメントを飲むよりも、

あなたの免疫力を高めてくれる「最高の処方箋」になります。

医療の役割は、病気を治すことだけではありません。

「安心を提供し、あなたの日常を守ること」も、私たちの大切な使命なのです。

不安を一人で抱え込み、「まだ大丈夫」と我慢を続けてしまうと、

本当の病気が入り込む隙を与えてしまいます。

  • 不安で眠れなくなる(睡眠不足)
  • 食欲が落ち、食事が楽しめない(栄養不足)
  • 常に体のどこかを気にして、笑顔が減る(心の栄養不足)

こうして体力が落ちきってしまう前に、

不安の種を私たちと一緒に摘み取っておきましょう。

「こんな些細なことで……」と遠慮する必要は、全くありません。

私たちは、皆さんが診察室を出る時に、

少しだけ足取りが軽くなっているのを見るのが一番嬉しいのです。

「どこが悪いか分からないけど、なんだか心配」。

その気持ちをそのまま持って、どうぞお気軽に相談に来てください。

参考・引用元(内容の考え方の参考として)
※以下は本文を作成する際の医学的考え方の参考資料であり、本文はこれらをそのまま引用したものではありません。
厚生労働省:上手な医療のかかり方「かかりつけ医って何?」 (病気ではない不安や、日常の健康相談の重要性について) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kakaritsuke/index.html
日本精神神経学会:不安症についてのQ&A (「病気かどうか分からない不安」と向き合う重要性と医療の役割) https://www.jspn.or.jp/modules/for_public/index.php?content_id=14
NHS (UK): Health anxiety (健康への不安を感じた際、どのように医療機関を利用すべきかというガイドライン)
https://www.nhs.uk/mental-health/conditions/health-anxiety/

【重要】 医療上の責任について
本コラムは、医療に関する一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療方針を示すものではありません。症状や体調に不安がある場合は、自己判断せず、必ず医師または医療機関にご相談ください。
「不安」が強いだけでなく、動悸、息苦しさ、激しい落ち込み、眠れない日が続くなどの症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
緊急性が高いと感じる場合は、迷わず救急車や、各自治体の救急電話相談(#7119(救急安心センター事業)など)を利用してください。「異常なし」と診断された後でも、症状が急変した場合や、耐えがたい痛み、意識の低下などがある場合、「いつもと明らかに違う」「様子がおかしい」と感じる場合は、速やかに医療機関に連絡するか、救急車(119番)を検討してください。
掲載内容は2026年2月現在の情報に基づいています。本記事の情報を利用した結果生じたいかなる損害についても、筆者および掲載媒体は一切の責任を負いかねます。

著者プロフィール
梶原 直央
当院管理医師 内科・外科医師
(元東京医科大学呼吸器外科教授)

日常診療では、病気そのものだけでなく、生活背景や不安も含めた相談を大切にしている。
本連載では、医療情報があふれる時代だからこそ、「何を基準に考えればいいのか」「どこまで心配しなくていいのか」を町のお医者さんの視点で伝えている。

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