- 2026年4月28日
第10回 長く通い続ける「かかりつけ医」はどう選ぶ?
~あなたに合う場所を見つけるヒント~
■「合う、合わない」はあっていい、あなたの直感を大切に
「今の病院、先生はいい人だけど、なんとなく私には合わない気がする……」
「でも、ずっと通っているし、他へ行くのは先生に失礼かしら?」
診察室の外で、そんなふうに独り言のようにつぶやく声をよく耳にします。
最初にお伝えしたいのは、「病院や医師との相性に『合う・合わない』があるのは、ごく自然なこと」だということです。
そして、あなたが納得できる場所を選ぶことは、あなたの健康を守るための正当な権利です。
今回は、生活のパートナーとなる「かかりつけ医」を選ぶためのヒントをお話しします。
■ 病院選びに「唯一の正解」はありません
テレビで紹介される有名な病院や、最新設備が並ぶ大きな病院が、必ずしも「あなたにとってのベスト」とは限りません。
医療は一度きりのイベントではなく、日々の生活の中で長く続いていくもの。
最先端の技術と同じくらい、あるいはそれ以上に、「自分の生活スタイルや性格にしっくりくるか」という視点が、実はとても重要になります。
■ 迷ったときにチェックしてほしい「4つのポイント」
今の病院、あるいは新しい病院を探す際に、次の点に注目してみてください。
- 「無理なく通えるか」:
体調が悪いとき、雨の日でも「あそこなら行ける」と思える距離ですか? - 「呼吸が合うか」:
医師やスタッフの前で緊張しすぎず、自分の言葉でありのままを話せますか? - 「言葉のキャッチボールができるか」:
ささいな疑問を投げかけたとき、あなたの目を見て、分かる言葉で返してくれますか? - 「帰り道の足取りはどうか」:
診察を終えた後、少しでも心が軽くなったり、安心したりしていますか?
医療は、医師と患者さんの「二人三脚」です。あなたが居心地の良さを感じることは、治療を続ける上での大きな力になります。
■ 病院を「変える」ことは、前向きなステップです
「長年お世話になったから、裏切るようで申し訳ない」と、律儀に悩まれる方もいらっしゃいます。
けれど、年齢と共に体調が変わり、生活環境が変われば、心地よいと感じる医療機関が変わるのも当然です。
病院を変えることは、決して医師への裏切りではありません。
「今の自分に、よりフィットする支え」を探すための、前向きな決断です。
■ 町のお医者さんとして伝えたいこと
私たち町医者の役割は、皆さんの「健康の窓口」であることです。
その窓口は、あなたが何でも気軽に相談できる、風通しの良い場所であってほしいと願っています。
もし転院を考える際は、それまでの記録(紹介状)を引き継ぐのが一番スムーズです。
もし直接言い出しにくいときは、「通いやすさ」や「家族の勧め」などを理由にしても全く構いません。
最終的に、あなたが心の底から「ここなら安心だ」と思える場所を、どうぞ大切に選んでください。
参考・引用元(内容の考え方の参考として)
※以下は本文を作成する際の医学的考え方の参考資料であり、本文はこれらをそのまま引用したものではありません。
・「上手な医療のかかり方:かかりつけ医を持ちましょう」[1]
(厚生労働省 知っておきたい上手な医者のかかり方)
・「かかりつけ医とは何か」
(一般社団法人 日本医師会)
・「Choosing a Family Doctor」
(American Academy of Family Physicians (AAFP) 公式サイト)
【重要】】 医療上の責任について
本コラムは、医療に関する一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療方針を示すものではありません。症状や体調に不安がある場合は、自己判断せず、必ず医師または医療機関にご相談ください。
病院を変える際は、現在の治療方針や処方薬の情報を新しい医師に正確に伝えるため、可能な限り「紹介状(診療情報提供書)」を持参することをおすすめします。
緊急性が高いと感じる場合は、迷わず救急車や、各自治体の救急電話相談(#7119(救急安心センター事業)など)を利用してください。「異常なし」と診断された後でも、症状が急変した場合や、耐えがたい痛み、意識の低下などがある場合、「いつもと明らかに違う」「様子がおかしい」と感じる場合は、速やかに医療機関に連絡するか、救急車(119番)を検討してください。
掲載内容は2026年3月現在の情報に基づいています。本記事の情報を利用した結果生じたいかなる損害についても、筆者および掲載媒体は一切の責任を負いかねます。
著者プロフィール
梶原 直央
当院管理医師 内科・外科医師
(元東京医科大学呼吸器外科教授)
日常診療では、病気そのものだけでなく、生活背景や不安も含めた相談を大切にしている。
本連載では、医療情報があふれる時代だからこそ、「何を基準に考えればいいのか」「どこまで心配しなくていいのか」を町のお医者さんの視点で伝えている。