- 2026年6月24日
<第2章>第6回 薬が合わないと感じたとき、どうする?
~「我慢」も「自己中断」も、実はおすすめしません~
こんにちは。町のお医者さんです。
新しい薬を飲み始めてから、こんな風に感じたことはありませんか?
- 「なんとなく、体調がすっきりしない」
- 「今までになかった不快な症状が出てきた気がする」
- 「これって、もしかして副作用……?」
診察室では、しばらく経ってから「実は、体に合わない気がして飲むのをやめてしまっていて……」と、申し訳なさそうに打ち明けられることがよくあります。
今回は、お薬への違和感を覚えたときの「正しい向き合い方」と、お医者さんとの上手な相談の仕方をお話しします。
■「合わない」と感じるのは、ごく自然なこと
お薬は症状に合わせて処方されますが、体の反応には一人ひとり大きな「個性」があります。
- 効き方の強弱(効きすぎ、あるいは物足りない)
- 副作用の出やすさ(胃のもたれ、眠気、口の渇きなど)
- 生活リズムとの相性(飲む回数が多すぎて忘れてしまうなど)
これらは実際に飲み始めてから初めてわかることも多いため、「少しおかしいな」と感じること自体は、決して特別なことではありません。ましてや、主治医に対して失礼になることも、全くありません。
■「自己判断の中断」に潜むリスク
「副作用が怖いから」「なんとなく不安だから」と、自分の判断でパタッとお薬をやめてしまう。そのお気持ちは痛いほど分かりますが、実はこれには慎重な判断が必要です。
お薬の中には、急にやめることで症状が急激に悪化(リバウンド現象)したり、体に強い反動(離脱症状)が出たりするものがあるからです。
「合わないかも」と思ったときこそ、まずは処方した医師や、いつも行く薬局の薬剤師さんに相談してください。
■相談をスムーズにする「3つのメモ」
受診の際、以下のポイントを教えていただけると、私たちは「お薬を継続するか、変更するか、お休みするか」の的確な判断がしやすくなります。
- 「いつ」:飲み始めて何日目か。飲んで何時間後に出たか。
- 「どんな風に」:湿疹、吐き気、だるさ、頭痛など。
- 「どれくらい」:少し気になる程度か、家事や仕事に支障が出るほどか。
「薬の種類を変える」「量を微調整する」「一時的に休んで様子を見る」など、あなたに最適な解決策は必ず見つかります。
■町のお医者さんから伝えたいこと
「せっかく出してもらった薬なのに、合わないなんて言ったら先生に失礼かも……」
そんな心配は一切いりません。
私たち医師にとって一番避けたいのは、「合わない薬を我慢して飲み続けること」や、「黙ってやめてしまい、本来の治療効果が分からなくなること」です。
「お薬が合わない」というあなたの実感は、わがままなどではなく、治療をより安全に、よりあなたにフィットしたものへ育てるための大切なステップです。
どうぞ遠慮なく、今のありのままの体感を教えてください。あなたにとって一番「楽」な方法を、一緒に見つけていきましょう。
参考・引用元(内容の考え方の参考として)
※以下は本文を作成する際の医学的考え方の参考資料であり、本文はこれらをそのまま引用したものではありません。
●くすりの適正使用と副作用の考え方について
くすりの適正使用協議会:くすりと正しく付き合おう
rad-ar.or.jp
●副作用かな?と思った時の対処法
独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA):副作用被害救済制度(および副作用の報告について)
pmda.go.jp
【重要】 医療上の責任について
本コラムは、医療に関する一般的な情報提供を目的としており、個別の薬の副作用判断や服薬指導、個別の診断や治療方針を示すものではありません。症状や体調に不安がある場合は、自己判断せず、必ず医師または医療機関にご相談ください。
掲載内容は執筆時点での情報に基づいています。本記事の情報を利用した結果生じたいかなる損害についても、筆者および掲載媒体は一切の責任を負いかねます。
著者プロフィール
梶原 直央
当院管理医師 内科・外科医師
(元東京医科大学呼吸器外科教授)
日常診療では、病気そのものだけでなく、生活背景や不安も含めた相談を大切にしている。
本連載では、医療情報があふれる時代だからこそ、「何を基準に考えればいいのか」「どこまで心配しなくていいのか」を町のお医者さんの視点で伝えている。